2013-04-12

言葉は真理に非ず


 言葉の本質は翻訳機能にある。言葉というシグナル――あるいはシンボル――を双方が手繰り寄せながらコミュニケーションは成り立つ。つまり言葉は手段なのだ。それを不変の教義に仕立てあげたところに啓典宗教の欺瞞がある。日蓮が経典を重視したのは、印刷技術のない時代において法論(=対話)の土壌をつくるためであったと思われる。

宗教には啓典宗教とそれ以外の宗教がある/『日本人のための宗教原論 あなたを宗教はどう助けてくれるのか』小室直樹